笑うのに必要なのは,17 種類の筋肉.
だけど,しかめ面するのには 47 の筋肉がいる.
エネルギーを大切に.
-unknown-

自分の写真
どこかの街, どこかの井戸で
日常にハミングを。Evernote、iPhone、エネルギー・環境関連、ランニングなどについて呟いてます。

2009年10月19日月曜日

犬を飼う



東北から横浜への帰路.

暇つぶしがてら,車中2時間を過ごすのにちょうどよいマンガを駅ナカの書店で探した.選んだのは谷口ジローさんの「犬を飼う」.まったく存じ上げていなかったマンガ家だった.マンガに疎い僕は帯の紹介を頼りに選ぶのだが,帯には

今,ヨーロッパで最も評価の高いマンガ家・谷口ジロー(・・・)ついに世界が,谷口ジローを発見した!
とある.

ほう.
ならばと安易に手にしたのが「谷口ジロー選集 犬を飼う と12の短編」だ.

海外で評価されるマンガ家(しかも,こう言っては何だが人気がないマンガ家)の描く作品とはなんだろうと興味が注がれた.本当に僕は「帯」に弱い.

まず,表題作の「犬を飼う」を読む.
それからその他の短編を息もつかぬ間に,一気に読み上げた.

なるほど.
漫画や小説、映画など、フィクションのもつ効用を本作「犬を飼う」で再確認した.

ミラーニューロンという神経細胞による脳内活動は,相手の行動を体を使って真似せずともその相手の動きを脳内でイメージすることで体得し てしまうものだ.作品世界を深く「追体験する」とは,つまりそういう事である.共感やシンクロニシティというのもそれと関連する.

谷口ジローは人物の“生きいきとした描写を描くことで読者にリアリティを与える.リアリティとは必ずしも真実のことではない.対象が何であれ(フィクションだろうが,事実だろうが),そこからわれわれが実感するものである.すると、心の内にあれやこれやと奥深くに眠っ ていた記憶が再生産される.そして皆、それぞれの『わたしの「犬を飼う」』を脳内でつくり出していくことになるのだ.


谷口ジローは、作品内容の時代背景や世界が大きく異なろうと,私たちの 心の琴線に触れる物語を生み出す漫画家だった.谷口ジローを評価したヨーロッパを僕は評価したい.久々にいい漫画に出会えた.


ケロ

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