飯久保廣嗣(いいくぼひろつぐ),2006.質問力―論理的に「考える」ためのトレーニング.日経ビジネス人文庫
■質問力とは
□質問の前提条件-自分がない人は質問できない
質問力は極めて積極性のある能動的行為であるから,自己発信する意志がなければ,身に付かない.
そのポイントを以下に二つ挙げる
1.自分の意見や意志をしっかり持っていること
2.人間関係を構築する積極性があること
□暗算思考は通用しない
思考の前提となるルールを適用させて,問題から解決へと短絡的に直結させる思考のことだ.
これはかつての時代なら,時代の速度が緩やかだったということもあり,それなりに効用のある思考プロセスであった.しかしながら,現在のような速度感のある時代には不向きなのだ.
暗算思考
オープンな複眼的思考
■「なに?」と問うのか,「なぜ?」と問うのか.
・「なに?」の質問は,学ぶための質問.
・「なぜ?」の質問は,考えるための質問.
これら二つのタイプを使い分けることが重要.とくに,日本人の苦手としているのが「なぜ?」型の質問である.
□問題を発見したり解決したりする方法は,「なぜ?を繰り返せ」にある.
そのキーワードが「4つのなぜ?」.
A.1「なぜ」そんな事が起ったのか
A.2「なぜ」そんなことが起こるのか
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B.1「なぜ」それをやるのか
B.2「なぜ」それから手をつけるのか
前者Aのタイプの質問は因果関係を過去から未来にかけて問う.
後者Bのタイプの質問は根拠を問う.
■してはいけない質問これらと事実を洗い出す「なに?」型の質問(=学ぶ質問)をうまく交えて使い分ければ,様々な問題の本質を見極めるのが容易.
□「わかりやすく!」という質問
→これは問題の本質を見失う恐れがあり,かえって問題を複雑化させてしまう.
□「Yes or No」という二者択一の質問
→相手の解答の幅を限定してしまい,あまり望ましくない.
複数の回答を求めるような質問をする.その結果,様々な問題点が浮き彫りになる.それらを多角的な側面から思考のプロセスを展開できるというわけです.そのために,いつも「他には何かないか?」と自問するように努めることです.
■判断基準がなければ,意味がない
前述した4つの「なぜ?」の質問を通して,いくつかの問題点がせっかく提示されたとしても→判断基準とは
それを判断する基準がなければ意味がない.
1.より大きな問題は―重要度
2.すぐに手をつけるべき問題は―緊急度
3.放置すると,より深刻化するのは―深刻化傾向
この三つの総合判断から優先順位をつけていく.
■EM法 (Effecttive Management Method) という思考法
直面する状況(問題)を考えるのは,以下の4つの領域(思考領域)に分かれる
1.さまざまな問題を把握すべき状況―いま,どんな問題があるのか,どれから処理すべきなのか
2.原因を究明すべき状況―なぜトラブルは起きたのか,どのように対処すればよいのか
3.選択や決定をすべき状況―どの選択肢を選ぶのが,もっとも望ましいのか
4.リスク対応が求められる状況―環境変化を踏まえて,将来の危険や不安にどう備えるか
これらのどれかに問題や抱えている状況が含まれることが多いはず.
■まとめ
「考える質問がうまくできない」,「二者択一」や「単数形」の思考の背景にある暗算思考を「なぜ?」の4つのキーワードの質問と学習の質問(なに?いつ?どこで?どの程度?)とをうまく使い分けながら,複数の問題点を提示する.それだけではなく,その後優先順位をつけて整理していく.
※注意点
いくら複数の問題点を挙げられても,優先順位,ウェイト付け,意思決定の部分で混乱してしまうことがある.草紙阿多場合には立ち返る必要がある.つまり,何のために「考え,行動する」のかということを.「何のため(目的)を達成するために,より重要なのはどの目標なのか?」という問いが重要になってくる.
ケロ
1 件のコメント:
タイトルいい感じになったね~☆
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