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2010年1月18日月曜日

Different strokes for different folks.

やっと『「坊ちゃん」の時代』全5部作を読了.



「坊ちゃんの時代 第五部 不機嫌亭漱石 凛冽たり近代なお生彩あり明治人」
関川夏央,谷口ジロー


けっしてボリュームがあるわけではないのだが,他のいくつかの本を読みつつ,余った時間を見つけて,ちょびちょび読み進めていたこともあってなかなか読み終えることが出来なかった.とても面白いんだけどね.

それはそうと
この本を通じて,つくづく感じ入るのは,「漫画のすごさ」である.漫画は日本のサブカルを支えているすばらしいエンタメであるのは言うまでもないが,その守備範囲たるや,恐れ入った.この漫画は特にすごい.ひとつの古典文学を題材に明治という激動の時代をクリアカットに表現してくれるではないですか.すごい.

夏目漱石の「坊ちゃん」ができるまでを漱石自身の私生活や明治が持つ独特の雰囲気を加味しながら,「ぼっちゃん」の成り立ちを追っていく.文明開化して欧化する日本.それは社会があまりにも強い力により矯正させられたことでうまれる歪みや捻れ,そういった,さまざまなものが矛盾していく渦中で翻弄される人物に『「坊ちゃん」の時代』はフォーカスしていく.

この漫画を契機に,「坊ちゃん」を読んだが,そのおかげでもう一つ深いところで「坊ちゃん」を読むことが出来た.明治は坊ちゃんの時代だったのかもしれない.それは,『「坊ちゃん」の時代』第一部の漱石に続いて,第二部の森鴎外や第三部の石川啄木,第四部の秋水などに色濃く表れている(ちなみに,第五部では再び漱石).

異なる生い立ちがあり,そこには異なる生活があった,そして異なる生涯を終えていく彼らに対して,明治という時代が等しく大きな影響を与えたのは想像に難くない.

そんな容易には掴めない明治という時代を漫画という表現スタイルで体現した
漫画作者の谷口ジローさんと脚本の関川夏央さんは,本当にすばらしい仕事をしてくれたと思う.




ケロ

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