地元がモロ被災地なので現地の状況などは当然気になって色々チェックしているのですが,そんな中で大変興味深い支援団体を最近知りました。
それが「ふんばろう東日本支援プロジェクト」。どんなプロジェクトなのか。同サイトの説明を以下に引用してみました。
ふんばろう東日本は「被災者支援」を目的とした市民が、被災者のためにできることをするという志のもと無償で活動している“プロジェクト”なのです。
そして,このプロジェクトを立ち上げた人物は西條剛央さん。
ほぼ日刊イトイ新聞で糸井重里さんと対談した企画「西條剛央さんの,すんごいアイディア」でどんな人なのかがわかりました。詳しくは以下のリンクから。
見てもらえばわかるのですが,この西條さんは心理学や(科学)哲学を専門としており,構造構成主義という学問を切り開いた方でもあります。その構造構成主義の手法を活かして,この「ふんばろう東日本支援プロジェクト」のすんごいアイディアある支援プロジェクトを運営しているようです。
構造構成主義(*)とは,おそらく哲学の変遷上に位置づけられる構造主義というもの,その次に現れたポスト構造主義に対するアンチテーゼとして生まれた学問かと思われます。とりわけ,ポスト構造主義はこれまでの哲学と呼ばれる概念や観念をぶち壊す方向で発展したパラダイムでした。これはこれで成果があったとは思うのですが,決して生産的,建設的ではなかったようです。
(*)詳しくは構造構成主義研究会
そこに来て,西條さんが提起した構造構成主義とは,相容れない学問同士の言い分をメタ理論(俯瞰)によって,建設的かつプラグマティックな手法を取り入れた学問といえます。これは現代の細分化され過ぎた学問を再構築するのに必要な考え方だと僕は思っています。
そんな西條さんの構造構成主義を活かした「ふんばろう東日本支援プロジェクト」はたくさんのアイディアある取り組みをされています。以下,主なプロジェクトです。
- 支援物資プロジェクト
- 家電プロジェクト
- 重機免許プロジェクト
- ガイガーカウンタープロジェクト
数あるプロジェクトの中で今回紹介したいプロジェクトが「ミシンでお仕事プロジェクト」。これはミシンを被災地に贈り、被災地の女性たちに元気になってもらい、仕事にもしてもらおう!というプロジェクトです。
現地では,指定した商品を作り,その商品を納品した後製作費を貰えるというシステムになっています。さすがに最初は商品作りに戸惑う可能性があるのでワークショップを開いて,ミシン講習を受け,その後家にミシンを持ち帰り各自作成するということのようです。
動画はミシンでお仕事プロジェクトのPVになります。僕も知っている(行ったこともある)ホテルでワークショップをやっている女性たちが楽しげに講習を受けている様子がわかります。
現地からは「すそ上げをしたりカーテンを作ったりするのにミシンがほしい」という声が上がっていたため、私たちが用意したミシンを使っていただいたところ,「久しぶりに笑ったわー」「つくってる間はつらいことも忘れるね」という感想をいただきました。
「ものづくり」を通して,心の癒しや笑顔が生まれたのです。
またこうしたワークショップにおいてみんなで一緒に作業をすることで,人と人とのつながりも生まれます。
そう。今回のプロジェクトはミシンでモノを作るだけではありません。人と人のつながり,そこから派生して笑顔が生まれる支援でもあるのです。また,一過性に過ぎない支援よりもこのようにパンや魚を支給するのではなく,生活を持続できる仕組みが必要とされているように思います。
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