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2010年9月16日木曜日

「海賊王になる」~「サルトル 失われた直接性をもとめて」

モンキー・D・ルフィ

▼ 「海賊王になる」

少年ジャンプ読者の国民的ヒーローと言えば、「ワンピースのルフィ」と言っても大方外れていないのではないでしょうか.

彼の無鉄砲でありながら、人情味溢れたキャラクターが少年,はたまた大人の心を掴まないわけがありません.かく言う,僕はあまり熱心な読者ではないのですが...(汗)

そんなもんで
日曜朝9時30分から始まるアニメをたまたま観ていると、ふと思うことがありました.それは、毎回同じセリフを繰り返す事.

「俺は海賊王になる!!」

このセリフは,毎週冒頭で叫ばれる。
そう.ルフィの夢は、海賊王になる事なのだ.





ルフィは悪魔の実の能力者であるため、一般人より遥かに強い.しかし、悪魔の実の能力者は海原の海賊団に数多いる.物語が進行するにつれて、ルフィの実力が如何ほどのものかがあらわになっていく.そして、ふと頭をよぎる.海賊王になるなんて、無理じゃない?と

正直、ルフィを超える強者はゴロゴロしている.そんな中で、ルフィはアニメの冒頭で必ず高らかに叫ぶ.「俺は海賊王になる」と.

なぜでしょうか?


▼自由について考えてみたひと~サルトル



話は一旦ココで変わる。
時代はイマからおよそ100年前.場所は、フランス.このあと第二次世界大戦も勃発することになる錯乱した時代に,ひとりの作家・哲学者が生まれた.ジャン=ポール・サルトルである.サルトルといえば,かの有名なこの言葉がある.
実存(existence)は本質(essence)に先行する


ユーモアすら感じる,その神経質そうな風貌の彼は,戦争という混沌とした時代に「自由について」,深く考えを巡らせていた.


▼投企(プロジェ)




彼の主要な哲学的用語のひとつに、投企(プロジェ)という概念があります.
これは、自分を未来に投げ出し、未来を拘束する、というものだ.
僕の気持ちをここに差し込ませてもらうと、彼のこの考え方がひどく気に入っています.


時間の中を生きるわたしは、過去から出発して、現在を離脱しつつ、未来に向かう。その運動の中で、わたしは過去-現在-未来を結ぶ「自己性の回路」を構成する。
対自であるのは、“かなたに”、手の届かぬところに、その諸可能の果てにである。そして、かなたにおいて、欠如という形で人があるところのものであるという、この自由な必然性こそ自己性を構成する.「存在と無」より


 
僕は僕じゃないもの(未来)に向けて、僕が僕であったもの(過去)から身を引き離しつつ、僕を僕であらぬ方に向けてリニューアルしつつ、脱自的(自分から超え出る)に存在する.何かを欲求した時に、僕はその何かが抜け落ちていた状態から出発して、欲求が満たされるであろう可能性に向けて投企(プロジェ)しつつ、僕の現在を欠如態として構成するのです.



有り体に言えば、「なりたい自分を選択肢から選び、責任を持って遂行すること」である.しか し,そこには大きな溝がある.現在のAから未来に描き出したA’は同じようで違うのだ.現在の実力に伴わないとしても、その変化への希求が、自分を将来な るべき姿へと引っ張りあげて行く.未来に拘束されるとは、そういうことである.


▼まとめ

大きく迂回しながらも結論へ帰ってきました.




冒頭に挙げたワンピースのルフィは、必ず叫ぶ.「俺は海賊王になる」と.
これは、彼が選び取った「なりたい自分」である.現在のルフィは未来に描いたルフィ’と、大きな溝が空いている.しかし、彼はその変化に対する逃れ難い欲求があり、選んだことに対する責任を全うしているのだ.
ルフィは,投企(プロジェ)によって,<未来の自分(なりたい自分)>の自由を拘束し,そこへ引っ張られるように向かう.要するに,ルフィはルフィの「自己性の回路」を辿っているのです.この概念は,ルフィのみならず,僕たちにも等しく実践できるものではないでしょうか.如何に,僕は<僕>を超え出て,本質に迫れるか・・・・・・.


とにかく
ルフィは今週も相も変わらず叫ぶだろう.
「俺は海賊王になる!!」って.






ケロケ~ロ Clip to Evernote

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