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2010年9月14日火曜日

<ココロ>は役に立たない.~『人は,なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 』


『人は,なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 』(島宗理)


▼人は、なぜ約束の時間に遅れるのか?

世の中には遅刻して困らせる人と遅刻されて困る人の二通りの人間がいます。


そして,遅刻する人に対してかける言葉はこうではないでしょうか.

「ホントにだらしがないなぁ」
「ルーズな性格だよなぁ」

などなど,身に覚えがあるレスばかりです(汗)


おおむね一致することとして,遅れた原因をその人の内側に求めることが挙げられます.

果たして、そうでしょうか?遅刻は,性格によるところが大きいのでしょうか?


この疑問に答えたのが本書の主旨と言ってもよいでしょう.




要するに、遅刻の主因を<ココロ>に求めていた従来の見方だったところを、本書では<行動>や<環境>に焦点を当てて説明しようじゃないかという方法なのです.
これは大変建設的な内容じゃないかと思います。
なぜなら、遅刻する側からすれば、「お前はだらしない性格だからなァ」とか「もうちょっと几帳面になれよ」とか,これらの言葉をかけられたところで次回遅刻が改善されていることが果たしてあるでしょうか?

それは否.

正直、こんなことを言われたからと言って次回遅刻しないようになるかといえば・・・、当然そうはならないでしょう。

本書は、先ほど行った通り、遅刻する主因を内側(ココロ)ではなく、外側(行動や環境)で説明しようとしています。

荒唐無稽な論述で説明しているのかと思えば、そうではなく、著者の専攻分野である行動分析学から導き出された蓋然性のある内容になっています。

▼行動分析学~視考術を活用~

行動分析学とは、B.F.スキナーを創始者とする「徹底的行動主義」という立場の心理学に分類されます.

この行動分析学の面白さは、人や人の行動の問題の原因を、私たちの中にある「何か」ではなく、行動と環境に求めるところです。

そして,<ココロ>の概念を使わずに「行動のなぜ」を読み解く。これが視考術となります。


▼行動随伴性ダイアグラム

                       行動随伴性ダイアグラム   写真転用@ketsus



「行動随伴性ダイアグラム」の視覚化
行動を図の中心に描き、その前後に先行事象と後続事象を描く図を「行動を随伴性ダイアグラム」と呼びます。行動と環境との相互的、機能的な関係性を表す。有り体にいえば、「~のとき(先行事象)、~すれば(行動)、~になる(後続事象)」という関係性になります。



・先行事象と後続事象

行動を引き起こすキッカケとなる手がかりや出来事、条件、時間などの事を、行動分析学的に「先行事象」と呼ぶ(図の右部分)。
行動によって何がどの様に変化するのかを考えて、それを行動の右側に描き出す。これを先行事象に対して、「後続事象」と呼ぶ(図の左部分)。

・強化と弱化

行動のあとに生じる後続事象によって、その行動が将来同じような先行事象によって生起されやすくなることを「強化(↑)」という。
行動が将来同じような先行事象によって生起されにくくなることを「弱化(↓)」という(消去とも)。



このように,行動を見える化することでその原因を説明できるのです.つまり,<ココロ>を持ち出さなくともよいわけで,より具体的かつ建設的な答えが導き出せるようになるわけです.この例だけでなく,私たちの日常の身の回りの疑問点や問題点などをこの行動随伴性ダイアグラムで見える化してあげれば,少なくとも現状の把握,時には解決策を見つけ出すことが出来ます.


▼まとめ
視考術の良い点は、以下のように問題の原因を個人の「記憶力」とか「注意力」に帰属せず、環境側に特定することで、自己嫌悪的な感情や思考に陥ることを防ぐことができる点にあります。


唯一の正解としての解決策(How to)を押し付けるより、なぜそうなったのかという「行動のなぜ」(why)を推測し、人や状況にあった解決策を複数考えられるようになる事の方が重要なのです。

僕自身,<ココロ>に何かを求めるのには些か辟易しています.誰かに対して,「お前は意志が弱い」とか「お前は性格がアレだからな~」とか(時にはこう言うことがあっても),それじゃあ解決しないんだよなぁと薄々感じてはいました.

しかし,本書のように<ココロ>ではなく「行動」や「環境」に焦点を絞ることで「出来る」ことが多くあるのです.しかも相手だけでなく,自分をもこの視考術でコントロールすることが可能です.


タバコの煙のように,<ココロ>はあまりにも捉えにくく,自分や相手にも害を及ぼす言葉と言えるのかもしれませんね.

ケロケ~ロ Clip to Evernote

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