笑うのに必要なのは,17 種類の筋肉.
だけど,しかめ面するのには 47 の筋肉がいる.
エネルギーを大切に.
-unknown-

自分の写真
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日常にハミングを。Evernote、iPhone、エネルギー・環境関連、ランニングなどについて呟いてます。

2010年5月31日月曜日

僕らは誰でもアイヒマンになれる~「ソーシャルブレインズ入門 <社会脳>って何だろう」


「ソーシャルブレインズ入門 <社会脳>って何だろう」(藤井直敬)

▼空前の脳ぶーむ

いま書店に行くと,「脳ぼん」がやたら目につく.世間では空前の脳ブーム.そんな僕もご多分に洩れず,「脳」に興味深々.

そんな折,書店でソーシャルブレインズというタイトルがふと目に入った.直訳で「社会脳」.

その基本的な考えは以下の通り.
自己と他者の脳が作る社会を前提として,その社会に組み込まれた状態の脳の仕組みを捉える
p.16
既存の多くの「脳ぼん」は「前頭葉を鍛えよ!」とか「脳を使って勉強しよう!」みたいな謳い文句で,ハウツー本と化している.正直,そういう類のものに興味がわかない.それよりも本書のような脳の未知なる場所へと誘う知の冒険のほうが僕は大好きだ.その中で,興味を引いた部分を二つピックアップしてみた.


▼勉強が嫌いなわけ~認知コストとは

人間の脳は,エネルギーを浪費すること(=認知する労力)を先天的に忌避している.その心理を説明するのに「認知コスト」といわれる概念でうまくいくと著者は考えている.例えば,上からアレをやれ,コレをやれと言われながら勉強をすると「大変ストレスがかかる」というのは多くの人に分かっていただけるかと思う.また,ルールを押しつけられると人間は既存のルールから新たなルールへとシフトするのに多大なエネルギーを消費する(ストレスがかかる=認知コストの浪費).このことから生来,人間は保守的生き物だといわれている.

最初の例でいえば,勉強に講じる時,その認知コストを支払ってペイするかどうか(資格が取れるとか,昇進につながるとか)が「勉強するか,しないか」あるいは「面白いか,面白くないか」を決定する.要は,認知コストとベネフィットのバランスなのだ.


これがなぜソーシャルブレインズにつながるのかと言えば,畢竟,認知コストを極限にまで抑えようとする人間の性向によって,社会にはしっかりとした「ルール」が生み出されたといえる.それはルールを共有することで,場当たり的にコロコロとかわる状況をなるべく回避し,認知コストを低く抑えられている.
ここでルールと聞くとネガティブな考えをお持ちの方もいるが,先のように言い換えれば,全く積極的に「認知コストの浪費を防ぐ」役目を果たしていると言えるのだ.


▼アイヒマンに誰でもなれる.

環境によって人間の行動や心理が変化するという例で驚愕するものがある.

アイヒマンはナチス親衛隊隊長として数百万人ものユダヤ人を殺戮した事で有名な戦犯者だ.非人道的な行動とは裏腹にその風貌は,虫も殺せなさそうな温厚な顔立ちである.何故彼はそれほどに非人道的人間になりえたのだろうか?


衝撃的な実験がいまから40年前に行われた.

その名も「スタンフォード監獄実験」.

実験内容は
看守役 と受刑者役にグループ分けて、それぞれの役割をリアルな刑務所に近い設備を作って演じさせた.ただそれだけ.

しかし,そこから思いもよらない結果が出てきた.それは時間が経つに連 れて看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるという事が証明された.この実験は当初2週間を予定していが,看守役が受刑者役への暴力がエスカレートしたことにより,わずか6日間で強制終了したのだ.

人は環境によって,何をしでかすかわからない.このようなコントロールされた実験に限らず,社会の至る所に僕たちの事態を暗転させる場所が隠れ潜んでいる.僕たちは脆弱な倫理観で,社会を綱渡りしていると考えたほうがよいかもしれない.いつ堕ちるか,わからないのだ.


恐ろしくもあり残念でもあるが,僕らは誰でも悪人になれる.


▼いまはじまったばかり

この「ソーシャルブレインズ」という学問分野はいま開かれつつある脳科学のひとつである.しかし,今後も話題に事つかないエキサイティングな学問であるともいえそうだ.脳については,「脳」だけでは分からない.外部と脳のつながりをつぶさに観察してはじめてわかることもあるだろう.そういうことから「ソーシャルブレインズ」の今後が楽しみだ.

ケロ

2010年5月29日土曜日

お金だけじゃ満足できない僕たち~ハーズバーグの二要因理論

ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)―Herzberg’s theory of motivation―@INVENIO LEADERSHIP INSIGHT(参考)


ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)」とは、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事の満足および不満足に影響する要因に関する理論だ.


ともすると,僕たちは仕事の報酬を賃金に求めているときがある.しかし,それは否.では,お金ではなく何に仕事の対価を求めているのか.畢竟,偽善的ともみえる「やりがい」や「責任」といったものが僕たちが仕事に対しての満足感を得られる要因として考えられている.しかも,このような考えは別に珍しいものではなく,マズローの欲求段階説などからもお金など(生理的・安全の欲求)は決して高次の欲求ではないと説かれている.それよりも「承認」や「自己実現」の欲求がもっとも高次とされており,言い換えれば,仕事では「責任感」や「やりがい」といったものに大きく価値を置いているといえるだろう.

それを踏まえて,今回のハーズバーグの二要因理論であるが,その背景は

仕事に対する満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではなく て、「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)は別のものであるとする考え方.


上記に出てくる動機付け要因と衛生要因については以下の通り


動機付け要因
仕事の満足に関わるのは、「達成感」「仕事そのもの」「責任」「昇進」「やりがい」など.これらが満たされると満足感を覚える.しかし,欠けていて も仕事に対しての不満足を引き起こすわけではないところがポイント.


衛生要因
仕事の不満足に関わるのは「会社のコンセプトやシステム,マネジメント」「監督」「賃金」「人間関係」「仕事の条件」など.これらが不足すると仕事に対する不満足を引き起こすようだ.満たした からといっても満足感につながるわけではない。単に不満足を予防する意味しか持たないといわれている.



要するに,この二つの要因を分析すると,単に衛生要因を極大化したとしても,仕事に対する満足感は得られづらいので,カイゼンステップとしては,1.衛生要因の極大→2.動機付け要因の極大という流れで職場に働きかけるのが良いだろう.

まぁ,雇用者からはあまり実践できるものは少ないけれど.

ケロ

2010年5月23日日曜日

決意表明 統計解析を習得するぞい

大学院では,小手先の統計解析をやっていたのだが,これを仕事で活かさない手はない!と,この頃感じている.

というのも[営業]というジャンルに属する自分にとって,効率的に営業活動をこなしていくのは必要不可欠であるからだ.それにはデータマイニングなどによって,顧客の抽出や戦略的な営業をしかけていくのに,統計解析は強力な武器になると考えている.実際,マーケティングと呼ばれる中には簡単ではあるが分析を行って,効率かつ実効性のあるビジネス展開を図っていることがある.

そんな事から,僕はこれからベイズ統計をメインに勉強していこうと思う.大変難しいとは思うのだが,これが身につけば,仕事上で必ず活きてくると確信している.




ケロ

2010年5月22日土曜日

僕は僕に沈黙する~「ゲーデルの哲学」(高橋昌一郎)






「ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論」 (高橋昌一郎)


つい先日,高橋昌一郎さんが著した「理性の限界」を一読し,深い感銘を受けた.「理性の限界」以前に出された本書は,ゲーデルの不完全性定理に特化した本であるだけでなく,ゲーデルの生涯を追いながら,その人となりや豪華な交友関係を補助線に,彼の研究の重要性をも明らかとしている.

とにかく難しい学問部類の論理学や数学,哲学等を著者の平易かつアナロジーをもちいた理解しやすい論理構成の文章によって,大変リーダブルな本に仕上がっている.この功績は大きなものであるに違いない.なぜなら,これらの内容はもっと多くの人が知って然るべきものであるからだ.それを,より(理解とまではいかないまでも)知ってもらうために敢えて敷居を低くして,僕のような人間でもナントナクわかるように思考を凝らせて工夫されていることにひどく感激した.




あまり内容には触れないがゲーデルの残した素晴らしい成果である論理学の完全性定理や自然数論の不完全性定理を踏まえて,彼のの世界に対する解釈を端的にあらわした「哲学的見解」を以下に記す.

1. 世界は合理的である.
2. 人間の理性は,原則的に,(あるテクニックを介して)より高度に進歩する.
3. すべての(芸術等も含めた)問題に答えを見出すために,形式的な方法がある.
4. [人間と]異なり,より高度な理性的存在と,他の世界がある.
5. 人間世界は,人間が過去に生き,未来にも生きるであろう唯一の世界ではない.
6. 現在知られているよりも,比較にならない多くの知識が,ア・プリオリに存在する.
7. ルネサンス以降の人類の知的発展は,完全に理性的なものである.
8. 人類の理性は,あらゆる方向へと発展する.
9. 正義は,真の科学によって構成される.
10. 唯物論は,偽である.
11. より高度な存在は,他者と,言語ではなく,アナロジーによって結びつく.
12. 概念は,客観的実在である.
13. 科学的(厳密な学としての)哲学と神学がある.これらの学問は,最も高度な抽象化概念を扱う.これらが,科学において,最も有益な研究である.
14. 既成宗教の大部分は,悪である.しかし,宗教そのものは,悪ではない.
pp. 201-202
僕たちの認識する世界=システムを超えて,他の世界がある.これは避けようのない存在である.従って,僕らが語りつくせる事物は決してないのだ.

哲学者・ウィトゲンシュタインの有名な言葉を借りれば,

およそ語られうることは明確に語られうる。そして、論じえないことについては、人は沈黙せねばならない

故に,僕は「僕」に沈黙してしまう.




ケロ

2010年5月20日木曜日

車間距離が肝・・・.「シゴトの渋滞,解消します!」(西成活裕)



「シゴトの渋滞,解消します! 結果がついてくる絶対法則」(西成活裕)

著者の専門は,『渋滞学』.

この聞きなれない学問は,私たちが日常的に関わる道路交通に大いに役立っている.著者はその学問を生みだした人なのだが,道路交通の範疇を飛び出して様々な機関の詰まりを解消するムダ取り人でもあるのだ.

本書は,その渋滞学をシゴトに応用して,個人・部内・社内という3っつのステージでそれぞれムダ取り,著者の言葉を借りれば,「渋滞を解消する」方法が載っている.

ビジネスのハウツー本の中には,トンデモ本と言われる確たる論拠のない怪しいものも数少なくない.もしかしたら,この本もサイエンスを無理にビジネスへと拡張したトンデモ本に分類されるのではないだろうかと訝しがるかもしれない.だって,車の「渋滞」とシゴトの「渋滞」では,渋滞は渋滞でもその意味合いが異なってくるではなかろうか,と.

しかし,中には全く異なる次元のもの同士が視点の違いによって繋がることもある.例えば,音楽や映像というものは,数学の2進法で表現できる.このようにまるで違ったものを別のカタチで表現できうるものもある.

著者の西成さんは,シゴトを「ひとつの流れ」として捉えている.タスクは消費しつつも,どんどん流れ込んでくる.その処理とインプットを「ひとつの流れ」と表現している.

そして

「仕事と仕事の合間をあけておく=スケジュールの渋滞を吸収することができる」ということが,スケジュールを管理するうえでの「流れの詰まり(渋滞)」への対策になってくれるわけです.この「間」は決して無駄ではないのです.
p.24
「間」が大事なのだ.間にはついつい新たな仕事をいれてしまいがち.しかし違う,仕事の車間距離を開けることで,前後の仕事が効率よく生産できるわけだ.


本書は,その車間距離以外にもとにかく「ゆとり」や「力の7割」でなど,全力で事に当たることに警告を促している.
これに関しては,常日頃個人的に気をつけている.自分は,あまりにも自分を過信してしまいがち.仕事の初心者マークを付けた状態で,アクセルを全力に踏んではいけないということ.だから,まず事故の無いように安全運転(仕事を慣性的にこなす)しながら,徐々に加速していくべきであると著者は提言している.


最初に挙げた疑問,本書がトンデモ本であるかどうかについてだが,それは本書を読んで実践してから決めてもよいかもしれない.

要するに,一読の価値はアリということなのです.


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ケロ

2010年5月18日火曜日

何によって憶えられたいか.- 「ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える160の英知」(上田惇生)


「ドラッカー 時代を超える言葉」(上田惇生)




ドラッカーは「マネジメント」という今では経営を語るのに不可欠な概念を創出した人として有名である.

そんなドラッカーを初めて知ったのは,ほぼ日の企画「はじめてのドラッカー」を見た時の事だ.


まず,自分は割と自己啓発本とか,ビジネス本という類のものを軽視していた.何が厭だって,ナリッジをお手軽に手に入れようとするきゃつらをチープで,ショボイと考えていたからだ.


しかし,考え方が徐々に変わってきた.


それはひとえに,P.F.ドラッカーと出会えたからかもしれない.


最近,巷ではビジネス書・経営書コーナーに,間違いなく平積みされているドラッカー本.原著作物から,中には「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」といった随分と敷居の低い本までが並んでいる.とにかくいまリーマンたちに,とても高い人気を誇っているがドラッカーだ.

成果のあげ方、マネジメント、社会の変化……。もしドラッカーが生きていれば、聞いてみたい数々のテーマ。今起きていること、これから起 こりうることを、ドラッカーの「目」を通して読み解く。@Amazon

この本も数多あるドラッカー本の一つにすぎない.そんな中で本書を今回紹介するのは,言ってみればドラッカーの思考が「網羅的に知ることが出来」かつ それが要領よくまとめられた「エッセンシャル」であるからだ.

しかし,いくら本書を紹介するにしても,上述したとおりドラッカーの扱っている範囲が広範であり,テーマも多岐にわたっている.よって,今回は第一部第一項「成長のための機会を逃さない  自己実現のために」を紹介するにとどめる.


1.何によって憶えられたいか.


今日でも私は,この問い,つまり何によって憶えられたいかを自らに問いかけている.これは,自己刷新を促す問いである.自分自身を今日の自分とは若干違う人間として見るよう仕向けてくれる問いである.by P.F.ドラッカー

2.自らの成長に責任を持つ

成長は,人間そのものを変えるがゆえに重大な意味を持つ.自らの成長に責任を持つことで,いま何に集中すべきかを自ら問わなければならない.誰でもできるルーティンばかりでは,能力を活かす事が出来ず,畢竟自分の責任を果たしていない事と同等だ.


3.自らに高い要求を

自らに刺激を与えるには,仕事を変えることが必要である.この必要性は,人がますます長生きするようになり,ますます長く活動できるようになるにつれて大きくなる.by P.F.ドラッカー
なんということだろう.日常化・習慣化して心地よくなった時こそ,ドラッカーは違った事を行えと促している.要するに,自己満足に陥っていては,高次の自己を実現することは不可能であるということだ.喜びは仕事とその成果の中に無ければならないのだ.


4.予期せぬ成功こそ成長の糧

ドラッカーは,指揮者に勧められて客席から演奏を聴いたクラリネット奏者の例を引いている.そのとき彼は,初めて音楽を聴いた.その後は上手く吹くことを超えて,音楽を創造するようになった.これが成長である.

自らの成長につながる最も効果的な方法は,自らの予期せぬ成功を見つけ,その予期せぬ成功を追求することである.ところがほとんどの人が,問題に気をとられる.by P.F.ドラッカー
5.機会は無数にある

知識は,仕事や技能をなくしはしなかったが,仕事の生産性と働く者の人生を大きく変えた.by P.F.ドラッカー
これまでは知識をどのように得るのかに労力を払ってきた.しかし,今日において,知識はどこにでもあふれている.これからは,知識を最大限に活かすために何処へ使うかが問われているのだ.

6.自らの実存にかかわる問題

選択肢を前にした若者が答えるべき問題は,正確には,何をしたらよいかではなく,自分を使って何をしたいかである.この問いは就職上の選択の問題に見えながら,実は自らの実存にかかわる問題である.by P.F.ドラッカー

P.F.ドラッカーは知識時代の到来を予期した.それは,現にクラウド・コンピューティング社会という誰でも知識を共有できるプラットフォームとして存在している.そして,昔とは異なり,知識はどう入手するかにエネルギーを消費する時代ではなくなっている.

労働の生産性を上げるには,容易に入手可能な知識をどう活かすかにかかっているのだ.そんなことも含めて,P.F.ドラッカーから教わったことが,ビジネス書や自己啓発本に対する嫌悪感を和らげてくれた.なぜなら,自分はこれまで知識を得る過程に価値を置き過ぎていた.いまでは知識を得る過程ではなく,知識を活かし,成果につなげる過程に価値を置きはじめている.それらを容易に得られるならそれを手にいれない手はない.


最後にP.F.ドラッカーのこの言葉で締めくくりたいと思う.

データは情報ではない.情報の原石にすぎない.原石にすぎないデータが情報となるには,目的のために体系化され,仕事に向けられ,意思決定に使われなければならない.by P.F.ドラッカー

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ケロ

2010年5月13日木曜日

限界を知れば,本当の可能性が見えてくる.「理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 」(高橋昌一郎)

「理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性 ―」(高橋昌一郎)


久しぶりにエキサイティングな本と出会った.
それは,次のAmazonの商品説明からも容易に伝わってくるのではなかろうか.
たち人間は、を、どこまでどのようにして知ることができるのか? いつか将来、あらゆる問題を理性的に解決できる日が来るのか?

あるいは、人間の理性 には、永遠に超えられない限界があるのか?

従来、哲学で扱われてきたこれらの難問に、多様な視点から切り込んだ議論(ディベート)は、アロウの不可能性定理からハイゼンベルクの不確定性原理、さらにゲーデルの不完全性定理へと展開し、人類の到達した「選択」「科学」「知識」の限界論の核心を明らかにする。

そして、覗きこんだ自然界の中心に見えてきたのは、確固たる実在や確実性ではなく…。@Amazon(太字・文字色を一部変更)

なんだかよく判らない言葉が並んで出て来るが,それを知っていようがいまいが,なんだか途轍もない事について書かれている,という事は感じるのではないか.

なぜなら,科学にしろ,社会にしろ,そしてその母体となる知識にしろ,僕らが「これまでも」,そして「これからも」無尽蔵にあると考えられてきた,又は汲んでも汲み切れないほどのものを発見し,今後も得られるとばかり考えているものが,この本では,「それには限界がある」という事実が語られているのだ.そんなこと話には聞いたことがあると知っていた人もあるかと思うが,この本のスゴイところは,それら限界について証明したお偉い方々のとんでもなく難しい内容を,実に平易な文章でクリアカットに教えてくれるところだろう.

この本を読んで,人間の作り上げてきた理性の限界を知ったいま,次のレヴェルでモノを見ることが可能となる.


ケロ

2010年5月11日火曜日

4月の読書 遅遅として

4月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:565ページ

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)
★★★☆☆ 収録されている短編にはプロットなどない.要するに,起承転結という流れでオチがはっきりしない.こう思う.例えば,テーブルに配置されたフォークと鉛筆,DVDから想起するイメージがあるとして,その可能性として有り得るイメージを読者側にハルキは与える.どれが言いたい事であるとかそんなことは関係ないのだ.そんなところが,なんともハルキ的.ちなみに,「螢」はまるまる「ノルウェイの森」という長編小説の出だし部分でつかわれている.
読了日:04月28日 著者:村上 春樹


脳のなかの匂い地図 (PHPサイエンス・ワールド新書)脳のなかの匂い地図 (PHPサイエンス・ワールド新書)
★★★☆☆ 地に足の着いた良書。だから、ちょっとテクニカル。アッと驚く、というよりは「匂う」に対するメカニズムが粗方、人間の脳の在り方からいって至極まともな事実であることをあえて敷居を低くせず正確をもって教えてくれる.表題にある「匂い地図」も感覚野の進化過程からいって、納得。
読了日:04月25日 著者:森 憲作

不況知らずのコンサルが実践している 時間をかけない! 情報整理術 (PHPビジネス新書)不況知らずのコンサルが実践している 時間をかけない! 情報整理術 (PHPビジネス新書)
★★★☆☆
読了日:04月12日 著者:佐々木 直彦
読書メーター


うう~,4月はあまり本読めなかったなぁ.どんどん積読本が高くなってゆく・・・.

ケロ

jazz giant Bud Powell



Bud Powell「jazz giant」

1949年と翌50年に録音されたセッションの模様を収録した1枚。まさにタイトル通りジャズ・ジャイアント、バドの魅力あふれるスウィング感満載の1 枚。ドライヴするナンバーばかりだ。@Amazon

バド・パウエルはブルー・ノート・レコード,そしてヴァーヴ・レコードからそれぞれ楽曲を出している.このjazz giantはヴァーヴ時代のものであり,聴く者を驚愕たらしめるのに十分な技巧とスウィングを惜しげもなく披露している一枚になっている.



先入観からセロニアス・モンク的かなと思ったら,体系的にまとめ上げられた学問のように,そのjazzの有意義さと広範なテクニックが載せてある(かのようんだ).


たまには,他のjazz artistsをつまみ食いするのも良いかもしれない.


以下,収録曲.

1.Tempus Fugue-It (2:26)
2.Celia (2:58)
3.Cherokee (3:36)
4.I'll Keep Loving You (2:40)
5.Strictly Confidential (3:08)
6.All God's Chillun Got Rhythm (2:59)
7.So Sorry,Please (3:15)
8.Get Happy (2:53)
9.Sometimes I'm Happy (3:38)
10.Sweet Georgia Brown (2:48)
11.Yesterdays (2:50)
12.April in Paris (3:10)
13.Body and Soul (3:21)


ケロ

2010年5月1日土曜日

GWの過ごし方

ご多聞にもれず,世はGolden weekに既に突入していますが,そんな僕もGWを授かっちゃいました.

はて,どうしたものか.

最近,枕詞のように,事あるごとに話の冒頭で「はて,どうしたものか.」などと嘯いてみせているが,何も大袈裟なことを言っているわけではない.GWの過ごし方について,はて,どうしたものかと真剣に悩んでいる次第です.いかんせん5日間という休暇は人間を堕落させるのに十分な時間である(私論).

いま,休暇と書いて,気付いたが「暇を取ること」が休暇ではないか.暇を取るなど,望んでなどいないのに暇を強要させられるとは何とも不条理.なぜなら,苦しくも暇なら働き者のアリンコにあげるほど,もてあましているのだ.


そんな事態から,目標と言うには大袈裟なのだが,No longer human...とならないように,GWを堕落せずに過ごすための宣言をここに書き記すことにした.


1) 本を4冊読了する.
  高橋昌一郎著「理性の限界」&「ゲーデルの哲学」,中沢新一著「純粋な自然の贈与」,村上春樹著「ノルウェイの森(上)」

2) 両親に食事などを馳走する
   東京にでてくる両親に食事や観光などの世話.

3) 朝ジョギングをする.筋トレする.
   5kmもしくは30分程度のジョギングを毎朝する.

4) 料理を毎日一度は作る.


5) 晴れた日などはモールや公園などへ出かけ,外出を増やす.



これらを自分に課して(というほど,どれも取るに足らないものではあるにせよ),日々規律ある生活を送りたいと思います.


輝くGolden Wというよりも,曇らないGolden Wを.



ケロ